「ジョバンニは橋の袂(たもと)から飛ぶやうに下の広い河原へおりました。(中略)川原のいちばん下流の方の洲のやうになって出たところに人の集まりがくっきり、まっ黒に立ってゐました。」と物語は、最後の場面を迎えます。ジョバンニはそこでカムパネルラのお父さんに会います。下流の方の銀河がいっぱいに映った川面が、銀河の彼方に消えたカムパネルラの運命を暗示しているような、美しくも悲しい光景が描かれています。
朝日橋のたもとから下流側へ降りると、当時は、北上川と瀬川の間に合流点まで細長く洲のようにのびた川原がありました。その橋に、カムパネルラを捜索する人々が集まっていたということなのです。
瀬川と北上川が合流していたころの地図(複製) |
現在の旧瀬川橋と朝日橋 |
普通、北上川岸からは横から見る形になり、川の下流部に重なるように映る天の川を見るのはむずかしいのですが、旧合流点からならば、正面に南流する北上川とそれに映る天の川を見ることができたのです。