「軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。ここは主に、猫の歴史と地理をしらべるところでした。」と始まる「寓話 猫の事務所」は稗貫郡役所がモデルで停車場は岩手軽便鉄道鳥谷ヶ崎(とやがさき)駅です。現在は、郡役所のあったところに岩手県合同庁舎が建ち、当時の建物は市内大迫町に移築され活性化センターになっています。
物語は事務所の書記である「かま猫」(かまどの中で寝るため、黒く汚れている猫)が同僚にいじめられますが最後に獅子が現れて、その状況をみて解散を命ずるということになります。
本物の郡役所はすでに役割をほとんど終えており、浜口内務大臣が最終的に大正15年廃止を決めました。のちに首相ともなった浜口雄幸(おさち)は、ライオンのあだ名で人気があり、これを素材にしたのです。
絵はがき 岩手軽便鉄道と稗貫郡役所「絵はがき花巻関連」3点の内 (花巻市博物館蔵) |
郡役所跡には岩手県の合同庁舎が建っています。 |
当時の「稗貫郡役所」絵葉書 (岩手県立図書館所蔵) |
獅子は花巻地方の神楽の権現様も意味しています。家々のかまどで火伏せの舞をする権現はかまどの獅子でもあり、かま猫すなわちかまど猫の守り神でもあるのです。