このガイドブックは、2012年(平成24年)1月に発行した印刷版「賢治メルヘンの街・花巻 ガイドブック」の内容をweb用にアレンジしたものです。文章・画像は、同ガイドブックの内容をそのまま転載しておりますが、レイアウト等は、若干異なります。また、内容は2010年(平成22年)に当サイトで公開した「賢治作品と花巻の街」、『「銀河鉄道の夜」舞台としての花巻』、『寓話「黒ぶだう」をめぐる人間模様』のページと重複している部分がございますので、その点はご了承ください。
著作・監修:米地 文夫(ハーナムキヤ景観研究所所長)
※印刷や拡大表示に便利なPDF版もご用意しておりますので、合わせてご活用ください。
(32ページ・18.9MB/ダウンロード・表示には少々時間を要します。)
★はじめに
明治中期頃の上町の風景『写真集明治・大正・昭和花巻』より
賢治が生まれた頃の写真です。
この小冊子を手に賢治の時代にタイムスリップして、花巻の街に賢治メルヘンの舞台を探ってみましょう。花巻の生んだ作家宮沢賢治は、童話、詩、短歌をはじめ多彩な作品を数多く遺しました。この小冊子では、そのなかで花巻の街を舞台にした一般的には童話と呼ばれている散文作品をとりあげます。
「風の又三郎」のような高原を描いた作品などから賢治は山野を描いた作家と思われがちですが、町を舞台にした作品も実は多いのです。しかも賢治は生まれてから小学生時代までと高等農林卒業 後亡くなるまで、花巻に住みました。そうそう中学卒業後高等農林入学までの青春の惑いの一年も花巻で過ごしました。ですから賢治は、花巻に根を下ろし、花巻で作品を育て、実らせたのです。
有名な作家はほとんどがいわゆる中央で仕事をしたのに対し、賢治は花巻で創作活動を続けました。したがって彼の発想の原点は花巻にあるのです。
この小冊子には、花巻の街歩きと賢治の時代の記録などから得られた新しい見方で、賢治メルヘンを読み解き、その舞台を探りました。そのため、従来の説とは違う点が多くなり、とまどう方もおられることと思いますが、この小冊子を手に、街をゆく「花巻人・賢治」の心とまなざしを偲んでいただき たいと願っております。なお、賢治作品の引用は原則として『新校本 宮澤賢治全集』(筑摩書房)に依りました。原文尊重の立場から、同全集に従い、旧仮名遣いのまま引用しましたことをご了承ください。
この小冊子の構成は、ほぼ下の図の範囲を時計回りに、平成22年度に作成した「賢治・星めぐりの街 花巻」のマップリーフレットに示した「星めぐり大回りコース」のルートに従って、童話の舞台をめぐる構成にしました。さあ、花巻の街にきらめく星のような賢治童話の原石を探してみましょう。
ガイドブックの範囲
2013年6月1日現在
★目次
- はじめに(ガイドブックのトップページ)
- (1)「シグナルとシグナレス」と花巻駅付近
- (2)「月夜のでんしんばしら」と花巻駅付近
- (3)「猫の事務所」と郡役所跡
- (4)「猫の事務所」と鳥谷ヶ崎停車場跡
- (5)「イーハトーボ農学校の春」と稗貫農学校跡
- (6)「山地の稜」と瀬川鉄橋跡
- (7)「めくらぶだうと虹」と「マリブロンと少女」と四ッ角山
- (8)「四又の百合」と花巻城址
- (9)「イギリス海岸」と小舟渡河岸
- (10)「銀河鉄道の夜」と白鳥の停車場
- (11)「銀河鉄道の夜」と朝日橋
- (12)「銀河鉄道の夜」と北上川・瀬川旧合流地点
- (13)「黒ぶだう」と旧菊池捍邸
- (14)「銀河鉄道の夜」と旧菊池捍邸
- (15)「祭の晩」と御旅屋
- (16)「黄いろのトマト」と御旅屋
- (17)「注文の多い料理店」と精養軒跡
- (18)「銀河鉄道の夜」と時計店跡
- (19)「銀河鉄道の夜」(初期形)と賢治の広場
- (20)「銀河鉄道の夜」と電気会社跡
- (21)「税務署長の冒険」と税務署跡
- (22)「毒もみの好きな署長さん」と花巻警察署跡
- (23)「銀河鉄道の夜」と小学校跡
- (24)「銀河鉄道の夜」と活版所跡
- 昭和初期の花巻中心市街地とその周辺
- 現代の花巻中心市街地とその周辺
- 宮沢賢治関連年表
- おわりに、参考資料・文献
- 賢治・星めぐりの街 Q&A(※賢治作品クイズのページに追加収録)