「銀河鉄道の夜」と舞台としての花巻、『銀河鉄道の夜』の舞台や題材のモデルを賢治が生まれた「花巻」に探す。

北十字とプリオシン海岸、「プリオシン海岸」のモデル

イギリス海岸=プリオシン海岸の風景 「プリシオン海岸」とは、少年小説「銀河鉄道の夜」のなかでジョバン二とカムパネルラが訪ねた場所の名で、イギリス海岸を天上に移したものです。

 プリオシンとは新第三紀のうち鮮新世と呼ばれる時代のことで、賢治の時代にはこの地層はそう考えられていましたが、現在では、第四紀のうちの洪積世に属するといわれています。

 「銀河鉄道の夜」の中のプリオシン海岸の挿話は東北帝大の早坂助教授が賢治らの案内で、この小舟渡河岸で1925(大正14)年11月23日にバタクルミ化石の発掘を行ったことをモデルに描かれています。

 「銀河鉄道の夜」も含めて、賢治の数多い童話や少年小説の中でモデルとした事柄の場所、時、人物がこれほど明らかな例は、他には皆無と言ってよいでしょう。ほかに詩「尭露青」 (かいろせい)には、プリオシンコーストとして登場します。

 「銀河鉄道の夜」の「プリオシン海岸」の挿話は例外づくめで、ただ一カ所の下車地点(白鳥の停車場)。ここだけが幻想的でなく現実的な描写、少年たちの大人びた言動、この章だけが二つの挿話が詰め込まれている・・・などから「プリオシン海岸」挿話は後から挿入されたもの、と私は考えています。

 賢治はクルミと足跡のほかに、なぜボス(牛の祖先)の化石を登場させたのでしょう。昭和始めに花泉で牛の骨が出土したことを賢治は聞いていたのだと私は思っています。

 なぜ白鳥の停車場を降りると銀杏(イチョウ)があったのでしょうか。イチョウは欧米には無い(檀物園などごく一部に日本から送られたものの子孫があるのみ)のに? それはおそらく小舟渡公民館向かいの八幡神社のイチョウからの連想ではないでしょうか!

(米地 文夫:ハーナムキヤ景観研究所)

銀河鉄道のイラスト
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